要約
総務省が2026年5月に地域DX推進施策を相次ぎ公表。行政手続デジタル化の加速は無資格代行リスクを高める。2026年改正行政書士法の両罰規定強化を前に委託先の資格確認が急務。
総務省が2026年5月に相次いで公表したデジタル行政施策と行政書士法の接点
行政書士法のコンプライアンス上、見逃せない動きが総務省から相次いでいる。2026年5月15日、総務省は「令和8年度予備費技術の高度化施策」の開始や「地域社会DX推進パッケージ」の機能実証開始を発表。さらに同月19日には「デジタル技術による行政サービスの処理及び制度見直しに関するまとめ(第4回)」と意見募集(パブリックコメント)の結果公表を行った。行政手続のデジタル化が加速するなか、企業の法務・コンプライアンス担当者がいま再確認すべきなのが、無資格代行リスクの拡大という問題だ。
行政書士法が禁じる無資格代行——デジタル化でむしろリスクは高まる
行政手続がオンライン化・簡素化されると、「フォームを代わりに入力するだけ」という感覚で、社内担当者やコンサル会社が官公署への申請書類を作成・提出するケースが増える。しかし、行政書士法第1条の2が定める「他人の依頼を受け報酬を得て官公署に提出する書類を作成する業務」は、無資格者が行えば同法第19条・第21条に基づき1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となる。さらに2026年改正行政書士法では両罰規定の適用範囲が明確化される方向で議論が進んでおり、委託元企業も処罰対象になるリスクが高まっている。地域DX推進で補助金申請・農地転用・会社設立など手続きが増加する局面だからこそ、許認可申請の委託先が行政書士資格を持つか否かの確認が急務だ。
法務担当者が今すぐ行うべき3つのチェックポイント
総務省の一連の施策を踏まえ、企業法務担当者は以下の3点を確認してほしい。
①業務委託先の資格確認:補助金申請・農地転用・帰化申請・産業廃棄物処理許可など許認可申請を外部委託している場合、委託先が日本行政書士会連合会に登録された行政書士かどうかを契約締結前に必ず確認する。名義貸しや無資格代行サービスの利用は違反リスクに直結する。
②社内フローの見直し:デジタル行政手続の普及で「社内担当者がオンラインで直接申請」するケースが増えているが、その書類を有償で外部が作成した場合は行政書士法に抵触しうる。コンプライアンス研修で社内周知を図ること。
③2026年改正への対応準備:2026年改正行政書士法では無資格業務への規制強化と両罰規定の整備が予定されている。改正施行前に委託契約書の見直しと業務フロー監査を実施し、アウトソーシング先を適法な行政書士事務所に切り替えることが求められる。
行政のデジタル化は利便性を高める一方、「手軽にできる」という錯覚が無資格代行の温床になりやすい。総務省の最新施策が示す地域DXの加速は、許認可申請の件数増加を意味する。法務担当者は今こそ自社の委託体制を総点検し、行政書士法コンプライアンスを確立する好機と捉えるべきだ。
よくある質問
- Q.社内担当者が補助金申請書類を作成して提出するのは行政書士法違反になりますか?
- A.自社の申請を自社従業員が行う場合は違反になりません。ただし外部から報酬を得て他者の申請書類を作成・提出する行為は無資格代行に該当し違法です。
- Q.2026年改正行政書士法の両罰規定とは何ですか?
- A.無資格者に申請書類作成を委託した企業(委託元)も処罰対象になる規定です。改正により違反リスクが委託先だけでなく発注企業にも及ぶため、委託先の資格確認が不可欠です。
- Q.行政書士資格があるか確認する方法はありますか?
- A.日本行政書士会連合会の公式サイトで会員検索が可能です。契約前に登録番号と所属会を確認し、名義貸しがないか委託契約書にも資格条項を明記することを推奨します。