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#相続手続き#行政書士#司法書士#遺産分割協議書#相続登記

相続手続きは行政書士と司法書士どちらに頼む?違いと費用を解説

要約

相続手続きで行政書士と司法書士のどちらに頼むかは、不動産の有無で決まる。相続登記は司法書士必須。費用相場や依頼先の選び方をケース別に解説。

行政書士と司法書士の「できること・できないこと」を一覧で比較

相続手続きを専門家に依頼しようと思った際、行政書士と司法書士のどちらに頼むべきか迷う人は多い。結論から言えば、不動産の相続登記が含まれる場合は司法書士が必要で、不動産がなく遺産分割協議書の作成や預貯金の払い戻し手続きが中心であれば行政書士でも対応できる。この基本ルールを押さえておくだけで、依頼先の選択ミスを防げる。

下記に主な相続業務の対応可否をまとめる。

  • 遺産分割協議書の作成:行政書士○/司法書士○
  • 不動産の相続登記(名義変更):行政書士×/司法書士○
  • 相続関係説明図・戸籍収集:行政書士○/司法書士○
  • 預貯金・株式等の払い戻し手続き書類作成:行政書士○/司法書士○
  • 農地転用許可申請(農業委員会向け):行政書士○/司法書士×
  • 自動車の名義変更(陸運局手続き):行政書士○/司法書士×
  • 相続放棄の申述書作成(本人申請用):行政書士○/司法書士○
  • 家庭裁判所への申立て書類作成(遺言検認等):行政書士×/司法書士○
  • 相続税申告:行政書士×/司法書士×(税理士の業務)

「行政書士は官公署に提出する書類の作成と相談が業務の中心」「司法書士は裁判所・法務局に提出する書類の作成と登記申請が業務の中心」と覚えると整理しやすい。どちらも弁護士ではないため、相続人間で争いが生じて訴訟になった場合は弁護士に引き継ぐ必要がある。

行政書士に依頼できる相続業務の具体的な内容

行政書士が相続の場面で担う業務は、大きく「書類収集・作成」と「官公署への申請」の二つに分類される。費用は事務所によって異なるが、一般的な相場は以下のとおりだ。

遺産分割協議書の作成

相続人全員が合意した遺産の分け方を文書化したものが遺産分割協議書だ。銀行の預金解約や証券口座の名義変更、自動車の名義変更など、不動産登記以外の手続きはこの書類を使って進める。行政書士への依頼費用は3万〜10万円程度が相場で、相続財産の種類や数、相続人の人数によって変動する。作成期間は戸籍収集が完了してから1〜2週間が目安だ。

戸籍・住民票などの収集代行

相続手続きには、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(改製原戸籍を含む)、相続人全員の戸籍謄本、住民票の除票などが必要になる。本籍が複数の市区町村にまたがる場合、自分で収集すると数週間かかることもある。行政書士に代行を頼むと、職務上請求書を使って効率的に収集してもらえる。費用は実費(1通450〜750円)+代行手数料2万〜4万円程度。

農地の相続に関する届出・許可申請

相続財産に農地が含まれる場合、農業委員会への届出(農地法第3条の3)が必要になる。また、農地を宅地等に転用する場合は農地転用許可申請も必要で、これは行政書士の独占業務に近い分野だ。費用は5万〜15万円程度で、農地の面積や市街化区域かどうかによって変わる。

自動車の名義変更

被相続人が所有していた自動車の名義変更は、陸運局(運輸支局)への申請が必要で、行政書士が代行できる。費用は1台あたり2万〜4万円程度(登録費用実費別)。

司法書士でなければできない相続業務とその費用相場

法律上、不動産の登記申請を代理人として行えるのは司法書士だけだ(弁護士は別途対応可)。行政書士が登記申請を代理することは司法書士法違反になるため、不動産を含む相続では必ず司法書士への依頼が必要になる。

不動産の相続登記(名義変更)

2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料の対象になった。不動産1件あたりの司法書士報酬は5万〜15万円程度で、これに登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)が加わる。たとえば評価額2,000万円の自宅なら登録免許税だけで8万円かかる。複数の不動産がある場合や、相続人の人数が多い場合はさらに費用が上がる。

相続放棄・限定承認の申述書作成

家庭裁判所への相続放棄の申述書作成は、司法書士が代理できる。行政書士も書類作成の補助はできるが、本人申請用の書類作成に留まる。司法書士に依頼する場合の費用は3万〜7万円程度。相続放棄の申請期限は「相続の開始を知った日から3か月以内」なので、迷ったら早めに専門家に相談する必要がある。

遺言書の検認申立て

公正証書遺言以外の遺言書(自筆証書遺言など)が見つかった場合、家庭裁判所での検認手続きが必要だ。司法書士が申立て書類を作成・提出できる。費用は3万〜5万円程度。

依頼先の選び方:ケース別の最適な組み合わせ

相続手続きを誰に頼むかは、財産の内容によって変わる。以下のケース別に最適な依頼先を示す。

ケース①:不動産あり・預貯金あり・争いなし

最も多いパターン。司法書士に相続登記を依頼しつつ、預貯金や自動車の手続きも一括依頼するのが効率的。多くの司法書士事務所は遺産分割協議書の作成や金融機関手続きにも対応している。総費用の目安は20万〜40万円程度(登録免許税別)。

ケース②:不動産なし・預貯金・株式のみ

この場合は行政書士で対応できる。費用は8万〜20万円程度と司法書士に依頼するより安く抑えられるケースが多い。ただし、後から不動産が見つかった場合は司法書士への追加依頼が必要になる。

ケース③:農地や畑が含まれる地方の相続

農地転用や農業委員会への届出が必要な場合は行政書士が得意とする分野だ。ただし同じ遺産に不動産(家屋・宅地)が含まれれば司法書士も必要になる。行政書士と司法書士を別々に依頼するか、両方の業務を扱う事務所(行政書士・司法書士兼業事務所)を選ぶと手続きがスムーズになる。

ケース④:相続人間で揉めている・争いの可能性がある

遺産分割で相続人間の合意が取れない場合、行政書士も司法書士も代理交渉はできない。家庭裁判所の遺産分割調停・審判になる可能性があるため、最初から弁護士に依頼するほうが結果的に費用と時間を節約できる。弁護士は登記を除くほぼすべての相続手続きを代理できる。

費用総まとめと依頼前に確認すべきポイント

相続手続き全体にかかる専門家費用の目安をまとめると次のとおりだ。

  • 行政書士(遺産分割協議書・書類収集・預金解約サポートなど):10万〜25万円
  • 司法書士(相続登記・遺産分割協議書作成含む):15万〜40万円(登録免許税別)
  • 弁護士(争いあり・交渉・調停含む):30万〜100万円超(着手金+報酬金)
  • 税理士(相続税申告):遺産総額の0.5〜1%程度+基本報酬

専門家に依頼する前に確認すべきポイントは三つある。

  1. 相続財産の種類をリストアップする:不動産・預貯金・株式・自動車・農地・生命保険・借金など、すべての財産と負債を洗い出してから相談に行く。これがないと適切な見積もりが出ない。
  2. 相続人全員の同意状況を確認する:専門家に依頼する前に、相続人全員が遺産分割の方向性について大まかに合意できているかを確認する。揉めそうな場合は弁護士を選ぶ。
  3. 複数の事務所に見積もりを取る:同じ業務でも事務所によって費用は2〜3倍異なることがある。最低2〜3か所に無料相談を申し込んで比較する。初回相談無料の事務所がほとんどだ。

なお、相続手続きの全体的なスケジュールは、被相続人の死亡後7日以内に死亡届3か月以内に相続放棄の要否判断4か月以内に準確定申告10か月以内に相続税申告・納税3年以内に相続登記という期限が連続する。専門家への相談は、四十九日が終わった後、できれば死亡後1〜2か月以内に動き始めるのが理想的だ。

よくある質問

Q.相続手続きを行政書士に頼んだあとで不動産が見つかった場合はどうなりますか?
A.不動産の相続登記は行政書士では対応できないため、別途司法書士に依頼が必要です。二度手間を避けるため、財産調査を先に行ってから依頼先を決めましょう。
Q.行政書士と司法書士に同時に依頼することはできますか?
A.可能です。行政書士・司法書士の兼業事務所に依頼するか、それぞれに依頼して連携してもらう方法があります。兼業事務所なら窓口が一つで手続きがスムーズです。
Q.相続人同士で揉めている場合、行政書士や司法書士に依頼できますか?
A.相続人間の代理交渉は行政書士・司法書士ともにできません。争いがある場合や調停・訴訟になりそうな場合は、最初から弁護士に相談するのが適切です。