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#在留資格#無資格代行#行政書士法#コンプライアンス#両罰規定

在留資格申請をコンサルが代行すると違法になる条件

要約

在留資格申請の書類作成を報酬付きで代行するには行政書士資格が必要。無資格代行は行政書士法違反で罰則・両罰規定の対象。合法的に関与できる範囲と実務チェックポイントを解説。

在留資格申請の代行サービスを提供したい、あるいは外注しようと考えている企業・コンサルタントにとって、「どこまでが合法か」という疑問は切実です。行政書士法に基づく無資格代行の禁止規定は、在留資格(ビザ)申請においても厳格に適用されます。報酬を受け取って他人の在留資格申請書類を作成・提出する行為は、行政書士資格なしには原則として違法となります。本記事では、違法になる具体的な条件と、合法的に関与できる範囲を実務目線で整理します。

在留資格申請の代行に行政書士資格が必要な理由

行政書士法第1条の2は、「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類を作成することを業とする」行為を行政書士の独占業務と定めています。在留資格(就労ビザ・配偶者ビザ・永住許可など)の申請書類は、出入国在留管理庁(入管)という官公署に提出する書類そのものです。したがって、報酬を得てこれらの書類を「作成」する行為は、行政書士資格を持つ者しか行えません。

さらに、申請取次制度という仕組みがあります。行政書士のうち、地方出入国在留管理局長に届け出た「申請取次行政書士」は、依頼人に代わって申請書類を窓口に提出する「申請取次」も行えます。つまり、書類作成だけでなく提出代行(取次)まで合法的にできるのは、この届出をした行政書士に限られます。無資格のコンサルタントや人材会社が「窓口提出まで一括対応」を売りにするサービスは、二重の意味で違法リスクを抱えます。

無資格代行が違法になる具体的なケース

実務上、次のような行為が行政書士法違反(無資格代行)として問題になります。

  • ケース①:人材紹介会社が採用した外国人のビザ申請書類を有料で一括作成する
    採用支援の付帯サービスとして「ビザ手続きもまとめて対応」と案内し、報酬に含める形で在留資格変更申請書を作成するケース。採用コンサルや人材会社に多く見られます。行政書士資格がなければ違法です。
  • ケース②:行政書士の名前を借りて実態は無資格者が書類を作成する(名義貸し)
    行政書士の名前・事務所名を使いながら、実際の書類作成はすべて無資格の社員が行う「名義貸し」は、行政書士法第19条の2(名義貸しの禁止)に抵触し、名義を貸した行政書士も処罰対象になります。
  • ケース③:外国人雇用コンサルが在留資格申請書類の「記入補助」として実質的に書類全体を作成する
    「本人が記入するのをサポートするだけ」という建前でも、実態として書類の内容を無資格者が決定・作成していれば違法と判断されるリスクがあります。
  • ケース④:ITツールや書類テンプレートを提供し、記入内容を指示して「代わりに」申請する
    フォーム入力サービスや申請代行アプリの形態でも、有償で在留資格申請書の作成・提出を担う実態があれば、行政書士法の規制対象になり得ます。

行政書士法第19条(業務の制限)に違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます(同法第21条)。また、法人が従業員の違反行為を防止する措置を怠っていた場合には両罰規定(同法第22条の2)が適用され、法人自体も罰則の対象となります。コンプライアンス上、個人だけでなく会社全体のリスクと捉える必要があります。

無資格者が合法的に関与できる範囲はどこまでか

では、行政書士資格を持たないコンサルタントや企業が在留資格手続きに一切関与できないかというと、そうではありません。「無報酬」あるいは「書類作成に当たらない業務」であれば、行政書士法の制限外となります。

具体的には、以下の行為は原則として違法にはなりません。

  • 在留資格の種類や申請の流れについての一般的な情報提供・セミナー開催
  • 申請に必要な書類のチェックリスト提供(どの書類が必要かを教えるだけ)
  • 本人が自分で記入した書類の誤字・形式チェックの補助(内容の作成でなく確認のサポート)
  • 行政書士に業務を紹介・取り次ぐ(ただし報酬収受の形態に注意が必要)

重要なのは「書類の内容を誰が決定しているか」という点です。書類の記載内容を無資格者が主導的に作成・判断している場合、形式上「補助」と称していても実態として行政書士業務を行っていると判断されます。また、コンサルティング料に在留資格申請のサポートが事実上含まれている場合も、報酬を得た書類作成とみなされるリスクがあります。

法務担当者が今すぐ確認すべきコンプライアンスチェックポイント

外国人雇用支援、移住サポート、人材紹介などを手がける企業の法務・コンプライアンス担当者は、以下の点を自社のサービス内容と照合してください。

  1. 報酬体系の確認:サービス料金に在留資格申請書類の作成が実質的に含まれていないか。コンサルフィーとして一括請求している場合、分解すると書類作成料が含まれているケースがある。
  2. 業務委託先の資格確認:申請書類の作成を外部に委託している場合、委託先が行政書士(または申請取次行政書士)であることを証明できる状態になっているか。
  3. 名義貸しリスクの点検:提携先行政書士との契約形態が、実質的な名義借りになっていないか。実務上の書類作成を自社スタッフが担いながら名前だけ借りている形になっていないか。
  4. 従業員教育の実施:営業担当者が「手伝い程度なら問題ない」という誤認識を持っていないか。両罰規定があるため、個人の認識にかかわらず会社が責任を負う可能性がある。

在留資格申請を含むビザ手続きは、近年のデジタル行政推進によってオンライン申請が拡充されつつありますが、書類作成の独占業務規制はオンライン・紙を問わず同様に適用されます。手続きの簡便化と法的規制は別問題であることを、サービス設計の段階から組み込んでおくことが重要です。無資格代行のリスクを正確に把握したうえで、必要に応じて行政書士との適切な協業体制を構築することが、コンプライアンス経営の実践につながります。

よくある質問

Q.人材紹介会社がビザ申請書類の作成を有料サービスとして提供するのは違法ですか?
A.原則違法です。報酬を得て在留資格申請書類を作成する行為は行政書士の独占業務です。行政書士資格のない会社がこれを業として行うと行政書士法第19条違反となります。
Q.申請書の「記入補助」や「チェック」なら無資格でも問題ないですか?
A.書類の内容を無資格者が実質的に決定・作成していれば、名目が補助でも違法とみなされるリスクがあります。本人が主体的に記入し、形式確認にとどまる場合は問題になりにくいです。
Q.行政書士の名前を借りて社員が書類を作成する「名義貸し」の罰則はどうなりますか?
A.名義を貸した行政書士と実際に業務を行った無資格者の双方が処罰対象になります。法人が防止措置を怠った場合は両罰規定により法人自体も罰則を受ける可能性があります。