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#行政書士法#無資格代行#両罰規定#在留資格#コンプライアンス

デジタル庁がマイナンバーカード海外申請開始:行政書士法の無資格代行リスクを点検

要約

デジタル庁が国外転出者向けマイナンバーカードのオンライン申請を開始。行政書士法の無資格代行リスクが拡大する中、企業の委託契約と両罰規定の実務対応を解説。

デジタル庁が国外転出者向けマイナンバーカードのオンライン申請を開始

行政書士法が規制する「無資格代行」のリスクが、またひとつ新たな局面を迎えた。デジタル庁は2026年5月26日、国外転出者向けマイナンバーカードの交付申請について、オンラインでの受付を開始したと発表した。これまで国外転出者がマイナンバーカードを取得するには、一時帰国して市区町村窓口で手続きする必要があったが、オンライン化によって海外在住のまま申請できるようになった。

一見すると行政書士業務とは無関係に見えるこの変化が、なぜコンプライアンス担当者にとって重要なのか。理由は明確だ。マイナンバーカードはいまや在留資格申請や帰化申請、各種許認可申請と連動する基盤インフラとなっており、カード取得を「代行」する形で報酬を得る行為が行政書士法上の無資格業務に抵触し得るからだ。オンライン化で手続きのハードルが下がると、SNSや海外向けサービスを通じて「申請代行します」と謳う無資格業者が増加する懸念がある。

行政書士法と無資格代行:何が問題になるのか

行政書士法第19条は、行政書士でない者が業として「官公署に提出する書類」の作成を行うことを禁じている。報酬を得て官公書類の作成・提出代理を行えるのは、日本行政書士会連合会(日行連)が認定する資格者のみだ。違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される(同法21条)。さらに2026年改正行政書士法では法人への両罰規定が強化される方向で議論が進んでおり、組織として無資格業者に業務委託していた企業も摘発対象となりうる。

マイナンバーカードの申請書類そのものは「住民基本台帳法」に基づく手続きであり、行政書士業務の典型例とは言いにくい側面もある。しかし問題は申請書類作成だけではない。在留資格や帰化申請を主業務とする代行業者が「マイナンバーカード取得支援」を抱き合わせで提供し、一連のパッケージとして報酬を受領する場合、全体として行政書士法違反の「業として行う行為」と認定されるリスクがある。法務部門は「個別手続きが適法かどうか」だけでなく、「サービス全体が資格業務の無資格提供に当たらないか」という視点で委託契約を精査しなければならない。

「申請代行サービス」委託契約のコンプライアンス・チェックポイント

企業が外部の代行サービスに行政手続を委託する場合、以下の観点を必ず確認してほしい。

①委託先が行政書士または行政書士法人か:契約書に登録番号・所属会を明記させる。外国人支援会社・コンサル会社・IT代行サービスが行政書士の資格を持たずに許認可申請や在留資格申請を「代行」している事例は後を絶たない。

②業務範囲が「書類作成の補助」か「作成・提出代理」か:書類の内容確認や必要書類のリストアップは資格不要の補助業務だが、官公署提出書類を「完成させて代わりに出す」行為は行政書士の独占業務となる。クラウド型の申請支援ツールを利用する際も、SaaS事業者が実質的に書類作成を担っている場合は要注意だ。

③報酬体系が「成功報酬型」になっていないか:許認可が下りた場合のみ報酬が発生する契約は、行政書士倫理規程上も問題が生じやすく、無資格業者が紛れ込む温床になりやすい。

④両罰規定を前提とした内部統制があるか:行政書士法の両罰規定(22条の2)は、法人の代表者・従業者が違反した場合に法人自体にも罰金刑を科す。自社の担当部署が無資格代行業者を使い続けていれば、企業全体がリスクを負う。

デジタル化が進むほど「資格確認」は形骸化しやすい

デジタル庁によるオンライン手続き拡充(マイナンバーカード申請、マイナポータル薬情報連携など)は、行政手続の利便性を大きく高める。しかし、オンライン化は同時に「誰でも手続きできる感覚」を生み出しやすく、代行業者のスクリーニングが甘くなるというリスクをはらむ。実際、コンプライアンス担当者からは「オンライン申請なのだからシステムが許可しているはずだ、問題ない」という誤解が現場担当者に広がっているという声も聞かれる。

しかしシステム上で申請できることと、その行為が行政書士法上適法であることはまったく別の話だ。2026年改正行政書士法の施行を控え、当局の取締りも強化される方向にある。「知らなかった」では済まない両罰規定の時代において、外部委託先の資格確認と契約書の見直しは、今すぐ着手すべき最優先のコンプライアンス課題と言えるだろう。法務・コンプライアンス担当者は、デジタル化の進展を好機ととらえながら、委託先の「資格確認」だけは絶対に省略しない体制を整備してほしい。

よくある質問

Q.マイナンバーカードの申請代行は行政書士法違反になりますか?
A.申請書類の作成・提出を報酬を得て業として行う場合、行政書士法違反となる可能性があります。委託先の資格確認が必須です。
Q.外部の申請代行業者を使った場合、企業も処罰されますか?
A.行政書士法の両罰規定により、従業者や委託先が無資格代行を行った場合、法人も罰金刑の対象となり得ます。
Q.オンライン申請サービスへの委託は行政書士でなくても問題ないですか?
A.システム上の申請補助と書類作成・提出代理は異なります。実質的に官公署提出書類を完成・代理提出する場合は行政書士資格が必要です。